津波,地震動,液状化などの影響で,製油所,油槽所,サービスステーションが多数被災するとともに,被災地外からの物流網が途絶したことから,全国からの被災地への燃料の供給ができなくなりました.また,被災直後は,細かな流通段階での状況についての情報が効果的に政府に伝わらなかった事例もありました.発災6日後に石油供給に係る対策が打ち出されたことにより,燃料の供給状況が回復に向かいましたが,一部地域においては混乱が続き,流通量が不足している中で,燃料を確保すべき優先順位についても,政府全体の方針の整理が十分行われなかったとの指摘もあります.総じて,政府全体の災害対策の中で,燃料不足が及ぼす社会全体や応急活動への影響についての事前の認識・準備が不足していました.
この反省から,政府は,法律を改正して,災害時の備蓄石油の放出,石油元売会社に対し,共同で地域ごとの対応計画を作成することを義務づけを行いました.また,例えば首都直下地震の新たな被害想定では,燃料不足についても被害想定に盛り込まれることとなりました.