低頻度巨大災害に関する情報の収集・周知徹底と対策への反映

869年貞観地震津波は,特に仙台湾沿岸における規模の面で,東日本大震災の津波に匹敵することが明らかになった.貞観津波は,震災の20年以上前から調査研究が継続的に行われ,当初の時点では津波堆積物分布(最小の浸水域に相当)は海岸から3km程度,直前の時点においては地震マグニチュード8.4以上が推定されていた.最初の発見より20年もの時間があったものの,貞観津波の実績に基づいた予測が十分に周知され,対策に生かされた例は極めて少なかった.地質記録の時空間解像度や信頼性は他種の記録とは異なる.その特性を十分に踏まえつつ,可能な限り迅速に情報の収集と周知を進め,各種対策に反映させる努力が必要である.

作成日(撮影日):
2015/04/07 
登録者:
菅原大助 
フェーズ:
事前 
対象:
国 自治体 
カテゴリ:
被害想定 災害の地質記録 
場所:
 
関連する学術論文・資料等
  • Daisuke Sugawara, Kazuhisa Goto, Fumihiko Imamura, Hideaki Matsumoto, Koji Minoura, 2012. Assessing the magnitude of the 869 Jogan tsunami using sedimentary deposits: Prediction and consequence of the 2011 Tohoku-oki tsunami. Sedimentary Geology 282, 14-26.
  • Sugawara, D., Imamura, F., Goto, K., Matsumoto, H., Minoura, K., 2013. The 2011 Tohoku-oki Earthquake Tsunami: Similarities and Differences to the 869 Jogan Tsunami on the Sendai Plain. Pure and Applied Geophysics 170, 831-843.