緊急時の声かけは自治体や町内会といった単位ではなく,「隣近所」によるものが説得的かつ効果的である.

津波で9割近くの家屋が流出したいわき市平薄磯区では110名以上の犠牲者が出た.住民のなかには1960年のチリ津波を薄磯で経験していたが,それにより住民に「津波は怖くない」という誤った知識を植え付けることになった.それがゆえに大津波警報が出ても,それを信じる人が少なかったのが現実であった.しかしながら,ふだんから顔を合わせる隣近所といった隣組単位の人による声かけを受けた人は「あの人が言っているのだから」と避難を決意する人が多かった.「あの人が言っているから」という関係性が構築されているのが必要であり,そのためには隣近所の人たちが対象としては最適となるのではないか.

作成日(撮影日):
2015/04/07 
登録者:
松本行真 
フェーズ:
緊急 
対象:
自治体 住民 
カテゴリ:
津波避難 コミュニティ 
場所:
沿岸 
関連する学術論文・資料等
  • 松本行真:地域で形成される民衆知と津波避難に関する予備的考察―福島県浜通り地方を事例に―、地域安全学会論文集No.21、119-128、2013.11
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