津波で9割近くの家屋が流出したいわき市平薄磯区では110名以上の犠牲者が出た.住民のなかには1960年のチリ津波を薄磯で経験していたが,それにより住民に「津波は怖くない」という誤った知識を植え付けることになった.それがゆえに大津波警報が出ても,それを信じる人が少なかったのが現実であった.しかしながら,ふだんから顔を合わせる隣近所といった隣組単位の人による声かけを受けた人は「あの人が言っているのだから」と避難を決意する人が多かった.「あの人が言っているから」という関係性が構築されているのが必要であり,そのためには隣近所の人たちが対象としては最適となるのではないか.